混沌とした春の兆し(2009.07.10)
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混沌とした春の兆し(2009.07.10)

モノ作りの行方と消費者の趣向性について

ファストファッション

4月29日、米の「FOREVER21」が初上陸した。1号店が原宿の明治通り沿い「H&M原宿店」の隣接地に出店する。

品質面での評価はあまり高くないが、ファッション性の高い服が企画から2~3週間で、お手頃価格で買えるファストファッション分野は、今年も盛り上がりを見せている。既存の「ZARA」「H&M」などが積極的に店舗を増やす予定の中、黒船の新規プレーヤーの登場でますます競争は激化しそうだ。さらに国内のアパレル企業も次々とファストファッション分野に参戦し、海外勢に対抗できるブランドづくりに躍起になっている。

トレンドセッター達のファッションも低価格なものが目立つようになり、価格に囚われない自己流のプライスレスな着こなしに注目が集まってきている。

このような状況の中、我々はどの様な選択肢を持ち決断するべきか、非常に重要な分岐点に立たされている。左(安物)を選ぶも右(高級品)を選ぶも、ある意味では大差なく正解と言えよう。しかし我々が歩んできた過去や、未来のあるべき姿を考えた場合、おのずと答えは見えてくる。

フリーランス経済
正規雇用が失われ、経済のフリーランス化が進んでいるようだ。ライターや写真家、ウェブデザイナー、ミュージシャンといったいわゆるクリエイターは、昔から自分の能力や技術を売り込んで仕事を獲得してきた。しかし、これからは技術や能力ではなく“自分”を積極的に売り込む世の中になると言われている。

掲載案件に関してオークション形式で仕事を落札する仕組みの仕事オークションの運営サイト「e-work」も、フリーランス化に対応したビジネスとして注目されている。フリーランス向けの生活保障制度が充実してくれば、経済が回復しても正規雇用には戻らない層が増えてくるかもしれない。

 

ギーク・カルチャー

海外の「otaku」ともいえる“ギーク・カルチャー”が、フランス国内で見逃せない規模に広がりつつあるようだ。

「geek(ギーク)」とは、コンピュータやマルチメディア技術、RPGなどのファンタジーに偏向的な興味を抱く人々を意味するとされていて、日本ではもっぱら“アニメ好き”を指すことの多い「otaku」と混同されることも少なくない。しかし、フランスの大新聞・フィガロ紙がギーク情報専門の公式ブログを設けたり、ギークに絞った専門サイトはショッピング系から出会い系まで百花繚乱。PCの前で長時間を過ごしながらの生活に必要となる商品がヒットしたり、ライフスタイル化してきているようだ。ちなみに、女性のギークは、「geekette(ギーケット)」と呼ばれるそうだ。

訳あり商品

中身は正規品と同じなのに見た目などに多少の難あり、だから安い・・・そんな“訳あり商品”がネット通販で話題になっている。例えば楽天市場で「訳あり」と検索すると、なんと10万点以上がヒットする。正規品として販売できなくなった“訳”を明確にして特別価格で提供すると、不況による節約ブームもあって爆発的なヒットにつながっているというのだ。

期限間近、余り・切れ端、倒産品・在庫過剰、箱潰れ・箱なし、アウトレット品などという「訳あり」ブームに便乗して、名ばかりの訳あり品も出現するほど熱いそうだ。

かつて“訳あり”をモノづくりのコンセプトとしてスタートした「無印良品」は、今や“訳あり”をライフスタイルデザインとしてうまく昇華させているが、今回の「訳あり商品」ブームは良い物を安く買うことの賢い生活術としての意味合いが強そうだ。しかし、必要のないモノや未来の価値創造に繋がらない見せかけの訳あり商品は店頭から消えていくだろう。

チャリティーグッズ

深刻な客離れが指摘される海外ブランドにあって「チャリティーグッズ」がにわかに注目されているようだ。

「チャリティーグッズ」は、特別デザインのバッグやジュエリーで売上金額の一部が慈善団体などに寄付されるというもので、従来の限定商品とは一味違う意味合いを持っている。これまで有名ブランドのチャリティー企画は日本では不発に終わるケースが多かったが、今チャリティーは、贅沢をしているという罪悪感を和らげてくれる効能があるようだ。

ブランド品が売れなくなったのは、不況で消費者に余裕がなくなったからとは限らず、高額品を買う行為に後ろめたさを感じるようになったからだと言われている。そんなご時世だから、チャリティーは、人に「買ってもいいかな」という理由づけを与えてくれるというわけだ。つまり、買い物にも他人の目に配慮した自己への美学が求められる時代ではなかろうか。

ブランドとチャリティーの距離が、不況でぐっと近づいている。

だが、今までのような「売上金の一部を慈善団体に寄付します。」というような不明瞭な表記ではなく、「商品代金の○○%がどこの国の何を目的とする慈善団体へ寄付されます。」と、明朗かつ具体的な表記と会計報告がなされないと信憑性が問われる時代でもある。

リップスティックエフェクト

世界的な消費の低迷で冷え込む一方の小売業界で、化粧品業界では手に入れやすい価格の化粧品ばかりが売れる現象「リップスティックエフェクト(口紅効果)」が起きている。2001年に起きた同時多発テロ後、バッグや宝石などブランド品の売り上げが低迷した際、口紅の売り上げだけが増加した為、そうした呼称を与えられたようだ。

今回アメリカでは低価格品とオーガニック系の高級品が人気を集め、二極化が起きており、一方の日本では、1万円以上する高級化粧品の人気が高まっている。コーセー、資生堂は最高級商品の2008年12月の売り上げが前の年に比べて10%以上アップし、「アラフォー」と呼ばれる40代前後の女性を中心に売り上げを伸ばしている。

消費者心理が冷え込む中、気持ちを盛り上げ、きれいでいたいという乙女心が消費を支えているのかもしれない。